こんにちは。天然石のお店・昴堂店長の矢野です。
石英は結晶の大きさや色、透明度でさまざまな呼び方があります。
ある程度似た特徴のものをまとめてグループ分けすると石の特徴が分かりやすいです。
よく用いられるのは石英を「透明結晶石」「半透明結晶石」「潜晶質半透明石」「潜晶質不透明石」の4つに分ける分類方法です。
人によって多少呼び方がちがう場合もありますけれど、意味は同じです。
それでは石英・水晶の仲間たちを紹介しましょう。
石英の4つの仲間
透明結晶石
透明で結晶が肉眼で見えるほど大きいもの。 代表的な石は水晶です。
透明ですが無色である必要はありません。無色透明に限定すると水晶しか残らなくなってしまいます。 他には「アメジスト」「シトリン」「スモーキー・クオーツ」があります。
要するに水晶と、ちょっと着色した水晶の仲間といったところです。 色がついているのは微量の不純物が混ざっているためです。不純物というと印象が悪いですが、そもそも自然界で作られるものは何らかの物質が混ざっています。
単一の成分で出来ている鉱物など自然界にはめったに存在しません。
でもそのおかげで、石にはさまざまな個性がありわれわれを楽しませてくれるのです。
半透明結晶石
肉眼で見えるほど結晶は大きいものの、色がついており濁っているもの。
「ミルキー・クオーツ」「ローズ・クオーツ」、「レモン・クオーツ」等がそうです。
形は水晶そのものです。色が違うだけですから。 でも、アメジストやシトリンと違うのは、結晶を光にかざしたときに向こう側が見えないくらい濁っている事です。スリガラスの様な感じと言えば分かるでしょうか。
こちらも石英に別の物質が混ざっているために色が付いているのですが、その混ざった量が多いと不透明な結晶になるということです。
シトリンとレモンクオーツは黄色系の色が付いていますが、それぞれ混ざっている物質は異なります。シオリンは鉄イオン、レモンクオーツは硫黄が原因で色が付いています。
左からローズクオーツ、水晶、ミルキークオーツ
潜晶質半透明石
名前を聞いただけでは何のことか分からなくなる人が多いのではないでしょうか。
「潜晶質」とは目に見えないくらいの非常に小さな二酸化珪素の結晶の集まりという意味です。顕微鏡で見ても結晶は分かりませんが、X線回折(X線結晶構造解析)をすると結晶構造を持っている事が分かります。
逆に言えば、水晶ポイントのように目に見える六角形の結晶は存在しないということですし、クラスターもありません。
このグループはカルセドニー(玉髄)と呼ばれます。つまりカルセドニーとは特定の石の名前ではなくグループの名前だということです。
カルセドニーは色や模様によってさまざまな名前がついています。縞模様のあるものはアゲート(瑪瑙)。いわゆるメノウという石がこれです。
昔から世界中でメノウは装飾品やさまざまな加工品に用いられてきました。
赤褐色と白の縞模様のあるもはサードオニキス、黒と白の縞になっているのはオニキスという呼び方もあります。
縞模様のないカルセドニーで赤いものはカーネリアン、緑のものはクリソプレーズ、黒いものはブラックオニキスといいます。
オニキスについては時代によって定義が変わっているので流通しているものと本にあるものとでは色と模様が一致しないこともあります。
カルセドニー類は、小さな結晶の集まりであるがゆえに、染めやすいという特徴があります。結晶と結晶の隙間に染料がしみこむ事が出来るのです。したがって、売られているカルセドニー、アゲートの中にはあらかじめ染められているものもあります。
潜晶質不透明石
カルセドニーと同じ、二酸化珪素の小さな結晶の塊です。
カルセドニーと違うのは色が不透明な事です。 本来は透明なはずの石英に色が付くのは他の物質が混ざっているからです。透明感がなくなるほど混ざっている物資の量が多いということです。20%以上の割合で他の物質が混ざると不透明になるといいます。
このグループはジャスパーと呼びます。 カルセドニーと同様に色によってジャスパーもさまざまな呼ばれ方をすることがあります。
赤いものはレッドジャスパー。濃い緑に赤い斑点があるのはブラッドストーンといいます。
同じ物質からできている石でも、結晶や色によって色々な名前があるんですね。
石英は奥が深いです。
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